「過ぎたるは及ばざるが如し」とは間違いである?
Excessive portion of sugar in mug with tea. Health care or diabetes concept

「過ぎたるは及ばざるが如し」という諺を聞いたことはあると思います。この諺は徳川家康が好きであった言葉とも言われおり、元々は論語である孔子の「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」に由来しています。

Excessive portion of sugar in mug with tea. Health care or diabetes concept

 

 

 

 

 

 

1.現代における「し過ぎ」問題

「過ぎたるは及ばざるが如し」とは、「行き過ぎることは不足していることと同じように良くないことである」という意味です。孔子で言うところの「中庸」の大切さを表します。「中庸」とは何事も偏ることなく、バランスが良いことを指します。現代において、このバランスを度々忘れ、少々「し過ぎる」ことが大きくなってきているように感じます。

 

例えば、「働き過ぎ」、「食べ過ぎ」、「飲み過ぎ」、「お金の使い過ぎ」、「寝過ぎ」、「遊び過ぎ」 ・・・

 

どの「し過ぎ」をとっても良いことは一つもありません。例えば、「働き過ぎ」というのは過労死を招く最悪のことですし、「食べ過ぎ」というのは肥満や病気を引き起こす基になるものです。「し過ぎ」という状態は感覚が麻痺している状態のことを指します。「お金の使い過ぎ」なんて典型的な事例だと思います。

 

「し過ぎる」というのは、漢字から見て取れるように「過ち」なのです。「過ち」を犯せばどうなるかというと、刑務所に入る等、それ相応の罰やリスクが与えられます。「食べ過ぎ」や「飲み過ぎ」であれば、病気になりやすいというリスクが高くなったり、最悪の場合死に至ります。「お金の使い過ぎ」は、いつまで経ってもお金持ちになりません。入った分だけ出て行く分が多いのですから、お金が貯まるわけがありません。「寝過ぎ」であれば、「時間」そのものを無駄に使っているかもしれません。「遊び過ぎ」はお金の浪費に繋がります。

2.ものづくりにおいても過剰はムダ

ものづくりにおいても過剰は最悪のムダであると見なします。トヨタ生産方式と言う言葉を聞いたことがあるのではないかと思います。これはムダを徹底的に排除して、造り方を合理的にして生産性を高める考え方です。そして、その考え方の中ではムダを7つに区分しています。

 

①造り過ぎのムダ、②手待ちのムダ、③運搬のムダ、④加工そのもののムダ、⑤在庫のムダ、⑥動作のムダ、⑦不良をつくるムダ

 

その中でも特に最も悪いムダは①の造り過ぎのムダです。製品を予定量よりも多く造り過ぎることにより、在庫が多くなったり、必要以上の材料を使うことになったり、スペースに余裕がなくなったり、本来であれば空いているはずの余力が使われたり等、造り過ぎることによって他のムダが見えなくなってしまう危険性があるのです。

3.不足していることは必ずしも悪いことではない

「過ぎたるは及ばざるが如し」という諺では、不足していることも良くなくバランスが大事という意味で使われていますが、不足は必ずしも悪いこととは限りません。先ほどの「し過ぎ」に「ない」を付けて否定語にしてみてください。

「働き過ぎない」、「食べ過ぎない」、「飲み過ぎない」、「お金使い過ぎない」、「寝過ぎない」、「遊び過ぎない」 ・・・

全てにおいてどれも悪い響きではなく、むしろ健康や健全に聞こえるものばかりです。例えば、「食べ過ぎない」「飲み過ぎない」と言えば、健康に気を遣っていますし、「働き過ぎない」のであれば身体を壊すこともありません。「お金を使い過ぎなければ」貯金や投資も行うことができます。

 

仮に不足していることがあったとしても、不足に対しては何かしらの対策が取ることができます。たとえば、お金が不足しているのであればアイデアで勝負する、時間が不足しているのであれば効率化をはかる、人手が不足しているのであれば工夫をする等です。不足しているということはそれをきちんと問題と捉えて、解消するために必死になって何か対策を講じます。しかしながら、過剰である場合はそれが異常であるかも気がつかずに、限界になったときに初めて気付いて、手遅れになってしまうケースがあまりにも多いのです。

 

あなたも「し過ぎ」を見直し、健全な生活を送りませんか?

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