仕事でコーチングを役立てるための第2回目です。
第1回目はこちら
コーチングのスキルには「承認」「傾聴」「質問」「フィードバック」「リクエスト」があります。
今回は、仕事においてどのように「承認」を使っていけば良いかについてお話しします。
目次
「承認」というと何を思い浮かべるでしょうか?
今回もコンテクストは「仕事」です。
仕事において「承認」するというのは、どういうことでしょうか?
それは、相手を認めてあげるということです。認めるための行為としては様々ありますが、一般的によく用いられているのは、「褒める」という行為ではないでしょうか。相手の良いところを認めてあげて褒めるということです。
「そんなこと行っても部下の良いところなんて思いつかないよ」という方がいると思います。安心してください。大半の人が部下の良いところと聞かれると答えることはできません。
「部下の良いところが分からない」のには理由がある
では、なぜ「部下の良いところが分からない」のでしょうか?考えられる理由はいくつかあります。
② 部下のことに興味がない
③ そもそも部下の良いところを見つけようとしていない
① 部下とのコミュニケーションが取れていない
部下の良いところがわかっていない大本の原因はコミュニケーション不足です。上司と部下が毎日きちんとコミュニケーションがを取ることができていれば、良いところの1つや2つ簡単に言えるようなものです。しかしながら、それができないのは、部下とのコミュニケーションを取るのをサボりがちであるからです。
人手不足のこのご時世において、コミュニケーションを取っている余裕すらないという声が聞こえてきそうですが、コミュニケーションは人との信頼関係を築くための初歩ですので、身に着けておくと長い人生で必ずプラスとなります。
コミュニケーションの取り方にはさまざまあります。
・雑談する
・ホウレンソウ(報告・連絡・相談)
・顔色を見る
・メールを使用する
・SNSを使用する
・チャットを使用する
・朝会・昼会を使用する
② 部下のことに興味がない
部下のことの興味を持って見ていると、良いところはいくらでも出てきます。逆に、部下のことに興味を持っていないと、良いところが見当たりません。
また、部下の興味や趣味を把握していると、いざというときの話題にも困りません。上司から部下に話しかけるのがいつも仕事の話ばかりだと、部下はウンザリしないでしょうか。
「あーまた、仕事の話か」、「仕事頼まれるんだろうな」、「面倒な仕事ばかり押し付けてくるんだもんな」、そう部下が思ってしまうと部下からコミュニケーションを取ろうとしなくなってしまいます。
そうならないためにも仕事以外の話題を持つことをオススメします。特に上司と部下で共通の興味や趣味があれば、これほど強力なものはありません。なぜなら、人は自分と同じものを良しとする傾向にあるからです。例えば、同じ出身学校だったりすると、初めて会ったのに共通の話題ができるので、仲良くなりやすいのと同じです。自分と同じものに興味や関心を持っている人は仲間として認められやすいのです。よく、「○○好きの人に悪い人はいない」といわれますが、その感覚と同じです。
共通の興味や趣味がないからと言って、無理に相手と同じ興味や趣味を持つ必要はありません。相手の興味や趣味を理解して、それを否定するのではなく認めてあげるだけでも十分です。
「部下は上司を選べない」のと同じで、「上司も部下を選べません」。
そうした関係の中で上手く付き合っていくには、頭ごなしに否定ではなく、まずは相手を認めるということが必要ではないでしょうか。
③ そもそも部下の良いところを見つけようとしていない
部下も1人の人間ですので、良いところがない人なんていません。それは、良いところがないのではなく、良いところを見ようとしていないから見えないのかもしれません。
人の悪いところというのは、見ようとしなくても感じ取るだけで分かります。それが証拠に、部下たちが集まって上司の会話をしているのを聞いてみれば、大抵は悪口の話ではないでしょうか。
テレビを見ていると、ニュースの9割が殺人事件や悪いニュースの報道しかなされません。それは、良いニュースというのは人の興味を惹きつけにくいからです。「人の不幸は蜜の味」と言われますが、悪いニュースや心理的な恐怖というのは人間が最も興味をそそられるものです。
例えば、上司が部下の良い面を見ずにいつも悪いところだけ指摘して、叱責していたとしましょう。そうすると、いつも部下の悪いところが目に飛び込んでくるようになります。
逆に上司が部下の良いところを見つけようとすると、最初は難しいからもしれませんが、じっくり観察していくと良いところが目に入るようになります。そうすると、「今までこんなことしてくれていたんだ」とか気づくことができるようになります。
人の悪いところは見ようとしなくても分かりますが、人の良いところは見ようとしていないと見えてきません。
例えば、あなたの部下におとなしい人がいたら、何を考えているか分からないと言えば悪口になりますが、寡黙で自分の芯があると言えば良い面を見ていることになります。
よく長所と短所はコインの裏表の関係と同じと言われます。人も物もそうですが、必ず良い面と悪い面の両方を持っています。言い換えると、メリットとデメリットです。しかし、それを見る人がメリット・デメリットのどちらを意識するかによって、良い方向にも悪い方向にもみることができるのです。
相手の良いところを認めてあげて褒める
褒めるところのポイントとしては、部下の成果、能力や行動、人格や性格などが考えられます。
・部下の成果で褒めるのであれば、できなかったことではなく、できたことに意識を向けます。「営業目標をクリアしてすごいね」「クレームに対して粘り強く対応したね」といった感じです。
・能力や行動に関しては、「よく勉強しているね」「君の仕事を終わらせるのは早いね」などです。
・人格や性格であれば、「君は明るくて前向きで素晴らしいね」「君の根気強さは見習いたいね」などです。
できたことに意識を向けることができれば、良いところは見えてきます。
こうした普段からの何気ないコミュニケーションが深い信頼関係を築いていくのです。