TEFCAS思考で自分を変える(後編)

 

 

 


4. Events 一連の出来事の捉え方

当然ながらアイデアは行動に移さなければ役に立ちません。Trialは行動する前の計画の段階であるとすれば、このEventsは行動の段階です。計画が完了したので、行動に移す時を表します。Eventsは出来事と訳されますが、成功に向かうための道の唯一のステップではないので、複数形になっています。

目標の達成に向けて最初に試みた答えが唯一だと考えてしまうと、それが失敗したら失望してしまいます。しかしながら、通常最初のステップでは定義された成功を手にできません。出来事は最終的な成功に向かう旅の一ステップにしか過ぎないことを理解していれば、それが上手くいかなかったとしても落ち込んだり諦めることはありません。

自分自身が失敗者であるという考えに発展させてしまうのは、目標に向かって前進しない出来事はすべて失敗であると考えてしまうところからきています。なので、全ての出来事は成功に導くプロセスの一部であると考えて、失敗から多くのことを学んでいく必要があります。かのトーマス・エジソンも失敗に関して様々な言葉で述べています。

私たちの最大の弱点は諦めることにある。
成功するのに最も確実な方法は、
常にもう一回だけ試してみることだ。

トーマス・エジソン

私は失敗したことがない。
ただ、1万通りの、
うまく行かない方法を
見つけただけだ。

トーマス・エジソン

失敗したわけではない。
それを誤りだと言ってはいけない。
勉強したのだと言いたまえ。

トーマス・エジソン

「出来事」と「成功」は別物です。成功へのチャンスは1回の出来事からではなく、複数の出来事から生じる物です。失敗は成功の一部であり、失敗から分析して学ぶことこそが最も重要なプロセスです。

5.Feedback 効果的なフィードバック

フィードバック(Feedback)とは出来事に対してどの程度まで上手くできたかについての情報を脳に与えるためにすることです。TEFCASの中で最も難しいステップと言われるのが、このフィードバックです。それは、フィードバックにはプラスのものとマイナスのものが含まれているからです。

フィードバックはマイナスのものは避けるべきと思われるが、結局はそれを受け取る人が自身の目標に近づく助けとなるものであれば、マイナスのものであっても構いません。しかしながら、たいていのフードバックはマイナスのものとして捉えられてしまいがちです。

それは、受け取る人がフィードバックを受ける準備が整っていないからです。受け取る人が拒否している状態であるのに、いくらフィードバックを言っても聞く耳を持ちません。それがマイナスのフィードバックであれば尚更です。マイナスのことを言われると自分が否定されている気分になるからです。

それを避けるためには、まずは確認を取ることです。「あなたの目標に近づくためのフィードバックを言っても良いですか?」という一言を加えるだけでも、受け手に与える印象はガラリと変わります。ここで、仮にNoと言われれば、言わなければいいだけのことです。相手が嫌がっているのに、無理矢理フィードバックを行うのは嫌がらせ以外の何物でもありません。

逆に「Yes」と言った場合においても、一方的にマイナスのことだけを伝えるのではなく、必ずプラスのこととセットで伝えることが重要です。そして、順番はプラスのことを先に言ってから、マイナスのことを伝えます。それで終わってしまってはマイナスの印象が強くなってしまう可能性もありますので、最後にまたプラスのことを伝えます。この最後のプラスのことを言うのはハードルが高いですがこれができれば相手に与える印象が違うものになり、相手は誠意あるフィードバックであると感じてくれるでしょう。

また、プラスのフィードバックは積極的に求めて推奨していく必要がありますが、逆に都合の良いこと、耳障りが良いことだけしか言わないようなごますり人間だけで固めてしまうと、言葉を使ってうまく濁して取り繕うおうとしてしまいます。なので、悪いことであっても目標に近づく助けとなるもの、つまり建設的な意見であれば言えるような人を周りに置くことも必要となります。

フィードバックを提供するときのコツとしては、相手の目標(Success)が何であるかを知る必要があります。相手の目標を知っていなければ、そのフィードバックしている内容が意味あるものにならないからです。そして、フィードバックは自分の言いたいことを伝えるだけの場ではなく、相手がフィードバックに対して心が開いている状態かを常に確かめておくことが重要です。

6.Check チェックする

フィードバックを受け取ったら、自分でそれが有効かつ正確かをチェック(Check)します。それは正確でなかったり、不完全であった場合、それに基づいて行動してしまっては成功への道が遠くなるばかりか、反対の方向にすら向かうことになりかねないからです。

そうならないためには、そのフィードバックが信頼できる人からの物かを確かめてみます。極端な話、自分が信頼していない人からの話には耳を傾けてはいけません。その代わり、自分が信頼している人のフィードバックには全力で耳を傾けることが重要です。自分が信頼していない人というのは、もしかしたらあなたが成功されては困るから足を引っ張ってくれる人かもしれないし、利害関係があればあなたを陥れるためにわざと違う道に行くように仕向けてるかもしれないからです。なので、それらを今一度冷静になって考えるタイミングがこのチェックです。

脳は常に真実を追い求める傾向にあるので、真実性の欠いた情報であれば、脳は思考停止してしまいます。これでは、目標に到達するまでに膨大な時間が掛かってしまいます。共有された情報と知識に基づいて行動することによって、あなたが持つ天賦の才能が発揮されるのです。

7.Adjust 調整する

成功(Success)に向かう道の最終ステップです。この段階では、フィードバックが正確だと受け入れることができたら、目標を達成するために行動を調整(Adjust)します。もしかしたら、一連の行動して、フィードバックを貰っていくうちに、目標に対しても調整が必要になってくることもあります。

ここで、調整すべきところはTrial試行の一部であったり、Try-alls全ての試行であったり、あるいはSuccess成功の定義そのものであるかもしれません。但し、成功の定義が大幅に変更してしまった場合は、試行の内容も大幅に変更になってしまう可能性もありますので、注意してください。

そして、最後に成功を収めたときはみんなでお祝いをしましょう。

TEFCASの流れ(まとめ)
1.   成功(Success)を定義する。脳は成功指向のメカニズムなので、それに向かって働く為の明確な目標が必要である。
2.脳が成功の過程で必要な行動(Trial)を綿密に計画しようとして生み出す、すべての提案(Try-alls)を試してみる。
3.実施した試行の結果として何か出来事(Events)が起こる。
4.フィードバック(Feedback)を受け取る。これは成功への生命線である。
5.情報を受け入れる前にチェック(Check)する。なぜなら脳には真実を求め、適切な調整を加えるには正確なデータを必要とするからである。
6.収集したフィードバックに従って調整(Adjust)する。
7.TEFCASのプロセスを必要に応じて繰り返す。
8.   定義した通りの成功(Success)を収める。
9.成功を祝う。

TEFCASの応用法は無限にあり、日々ぶつかる問題を管理し、必ず成功するための強力なツールです。

あなたはTEFCASを適用したい事例は何ですか?

【参考文献】トニー・ブザンら著、「マインドマップ・リーダーシップ」ー現場主導で組織に革命を起こすー、ダイヤモンド社(2013)

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