TEFCAS思考で自分を変える(前編)

あなたが目標達成できないのは、考え方の順番が間違っているからかもしれません。

 

 

 

1.目標達成の順番

TEFCASをご存じでしょうか?

TEFCASとは目標達成に向けたプロセスのことで、目的を持って意思疎通し合える組織を築くため等、様々な場面で応用されています。TEFCASは成功法のステップを示す単語の頭文字をとった略語です。

TEFCAS
Trial     試行
Event      実行、出来事
Feedback    フィードバック
Check     チェック
Adjust     調整
Success    成功

TEFCASだからと言って、この順番に行っていれば目標達成でできるという訳ではありません。

2.まずは最後のS(成功)から始める

順番は逆になるけれども、最初に決めることは最後のS(成功)から決めていきます。ここでいう、Successは成功や目的、目標を意味します。これは、全ての物事が向かう先であり、マラソンで言えばゴールを表します。

プロ野球でいうとリーグ優勝、そして日本一になるということ、企業であれば売上げを昨年比の10%上げることやプロジェクトを完遂させること等がこのSに該当します。そしてその中でも最優先課題を「ビッグS」と読んでいます。この「ビッグS」は組織の中で目指すべき先のところであり、別の用語でいうとミッションやビジョンと言われます。

なぜ、TEFCASの最後のSから始めるかというと、成功については明確なイメージを持つことが、この強力なツールが効果を発揮するからです。脳の第一言語はイメージであり、イメージほど脳に強力なインパクトを与えるものはありません。

色んなセミナーに参加すると「行動が大事」だということはよく言われますが、なぜかそこだけが切り取られしまっているように感じます。行動することは大事なのですが、行動する前にしなければいけないことが抜けています。目的地を決めることです。あなたが旅行する際に、目的地に決めずに、旅行するとどうなるでしょうか?

ただなんとなく外に出て、なんとなく行きたいところに行って、なんとなく楽しかったで終わるのではないでしょうか。目的地を決めないことによって、多大なる時間を浪費するばかりか、その旅行自体の意味がぼんやりとして不明確になってしまいます。たまにはそういう旅行もいいかもしれませんが、いつもそんな旅行をしていれば、迷っているうちにあっという間に人生が終わってしまっているかもしれません。

全てのことをやるにはあまりにも時間は短いのです。だからこそ、私たちはこれが私のS(成功)だというものを決めて、それに向かって取り組んで行った方が結果的に成功には近づきやすくなります。

脳科学的な視点から見ると、Sを決めることで脳に明確なイメージを植え付けることができます。脳は「不完全である」と認識してしまうと、脳はその中にある「空白」を埋めたがる性質があります。つまり、目標が不完全であればあるほど、その目標を聞いた各々が様々なことを連想をします。特に、組織において、目標を達成できない理由はこの「ビッグS」が不完全であることが原因です。

そのほかに目標達成に失敗する要因として、目標に対して社員の賛同を得ていないことが挙げられます。それを避けるためには組織のリーダーが目標の説明を十分すぎるほどに行わなければいけません。様々な人に伝わるようにこの手あの手を使いながら100通りもの言い方で伝えます。そして、その説明には一貫性がなければいけません。一貫性がなければ、前はこのように言っていたのに、今回はこう言っているというように、組織の中に混乱を招くばかりかリーダーに不信感すら覚えます。

1960年代、ジョン・F・ケネディ大統領は、月に人間を送り、無事に帰還させるという「ビッグS」でNASA職員を鼓舞していました。そうです、この「ビッグS」こそがNASA職員を奮い立たせ、困難な挑戦に立ち向かわせていました。

脳は何が成功であるかが定義づけられた場合、それに向かって作用し始め、それを達成するように働きます。脳は狙うべき目標を与えれば、寝ている間でさえも働いており、情報を統合してアイデアを創造しています。だから、アイデアを試す前に判断を下したり、限界を設定してはいけないのです。「前にやってみたけどうまくいかなかった」ということは一旦棚の上において、もう一度やってみるのです。そして、どういう状況に置かれていてもアイデアを記録できるように、ボイスレコーダーやペンは持ち歩きます。

オーストラリアの作曲家であるフランツ・シューベルトは音楽を思い付いたときにいつでもかけるようにとペンは持ち歩いていましたし、寝る時も眼鏡を外さずに寝ていました。アイデアが思いついたときはペンさえあれば自分の掌にでも書くことはできますが、ペンがなければ書くことすらできません。シューベルトは地面に書いていたこともありましたが、現代のアスファルトの社会ではそれすらもできません。そして、アイデアを記憶しておける時間はごくごく短時間で、別のことをしてしまうと忘れてしまいますので、思いついたときに書いておかなければいけません。

3.S(成功)が定義できたらTry(試行する)

成功が定義できたら、試行に移ります。ここでの試行は単なる試行ではなく、すべてのことを試してみることのTと捉える。これをTry-allsと呼びます。

先ほどの旅行の事例でも分かるとおり、目的地を決めてから行動を行います。この行動には計画を立てるということも含まれます。ここでは考えられうるすべてのことを試してみるとあるので、旅行に関しても考えられる行動を行います。旅行代理店に行く、インターネットで調べる、行った人に聴く、書店でガイドを見る、駅の窓口でパンフレットを貰う、街中のチラシを見る、電車に乗ったときに広告を見る、下見に行く等などです。

行動を書き出すときのコツですが、それは動詞で書くことです。名詞で書いてしまうと脳に必要な情報が単なる名詞として伝わってしまいます。一方、動詞で書き出しておくと、脳はそれを行動することとして認識しますので、行動を起こしやすくなります。

脳はアイデアを生み出す無限の能力があるのにも関わらず、目標達成できないのはこの行動を疎かにしているからに他なりません。成功しない人にはこの行動量の少なさが挙げられます。当然ながら最初から上手くいくとは限りません。10個中9個が失敗しても、残りの1個が成功すればビジネスではそれでいいのです。そして、上手くいったことに対して、再現性を何度か確かめてそれでも上手くいく場合に、大量に行動するのです。小さく始めてから大きくしていくのです。

そして、目標に集中し続けて、脳に成功に不可欠な試行を生み出す時間を脳に与える必要があります。つまり、脳に考える時間を与えるということです。これは、「ビッグS」や「ミッション」「ビジョン」が明確になれば、脳の思考プロセスは絶えず続きます。

また、脳に質問してあげることも有効です。例えば、その「ビッグS」を達成するためにまずすべきことは?という質問を投げかけると、脳はその答えを探し続けます。これも、先ほどの脳は「空白」を埋めたがるという性質によるものです。質問することが良いことと言われるのにはそういう理由があります。

脳が考え続けている中で新たな情報を送り込むことによってその達成を手助けすることもあります。ビジネス環境下においては、望ましい結果を既に達成した人を見つけることが、Try-alls(何でも試す)を実行しやすくする方法でもあります。所謂、メンターを見つけるといったリ、ベンチマーキングするといったりします。

同じ目標を目指す人達と、自分の試行を分かち合い、あなたが当初は考えていないアイデアを新たに試すことによって、目標達成への時間短縮を図ることができるのです。

後編へ続きます。

【参考文献】トニー・ブザンら著、「マインドマップ・リーダーシップ」ー現場主導で組織に革命を起こすー、ダイヤモンド社(2013)



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