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あなたはセールスが得意ですか?

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1.あなたを受け入れてくれるまでの時間は30秒

先日、ロバート・アレンさん邸に行った時にセールスとマーケティングを講師として行っているお弟子さんにお話を伺いました。あなたがもし会社勤めでサラリーマンであったのであれば、営業の仕事をされていないと分からないかもしれません。残念ながら、私自身も今まで商品を売ったことがほとんどないのでセールスが得意かと聞かれても「わからない」と答えるか「どちらかと言えば苦手」と答えます。なので、私が今持っているセールスに対するイメージを書き出してみました。

 

【セールスに対するイメージ】

・口が上手い人がセールス上手

・セールスとは物を売ることである

・セールスにおいて重要なことは自分が売る商品をよく知っておかなければいけない

 

一般的なイメージはこうしたところでしょうか。セールスをしたことがない人から見れば、お客様の前で口八丁で流暢に話をしているといった印象を持ってしまいます。

 

しかしながら、セールス・マーケティング講師からの話では、上記のような話はありませんでした。重要なことは商品を売ることではなく、相手に自分はお客様のことを理解しようとしていることが伝わるかどうかです。そのために必要な時間は30秒で十分です。つまり、お客様があなたを受け入れるまでに必要な時間は30秒ということです。なぜなら、あなたは商品の説明をするわけでもないからです。ただただ、お客様のことを理解しようとして、共感できる内容を話すだけです。

 

例えば、あなたが保険の販売をしているとしましょう。顧客は学校の先生とします。

「学校の先生ってとても大変ですよね。いつも学生の部活動の面倒見られて、その後翌日の授業の準備をされて。夜お帰りになるのは遅いですよね。そういった人からは見えないような先生の努力があるから、子どもたちがすくすくと逞しく育っていってくれているんですよね。私にも小学生の娘がいるんですけど、いつも先生方には感謝しております。」

 

30秒で伝えることは、商品の話ではなく、相手のことを理解しようとすることです。セールスのプロは売らないことです。

2.ニューロマーケティング

お客様があなたを受け入れるまでの時間は30秒で良いという話を聞いて、『39ピッチ』の話を思い出しました。

『39ピッチ』というのは米国臨床心理学博士である遠藤K.貴則先生が提唱するもので、お客様にものを買って頂くのに必要な時間は39秒で良いという脳科学に基づいたマーケティングの考え方です。その為、ニューロマーケティングとも呼ばれたりしています。

 

この39秒の根拠は、今までの研究や実践の成果をまとめたものです。

30秒→お客様にクロージングする訴求の時間

9秒→お客様に考えて貰う間の時間

 

ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カールマン博士は、人間がどのように意志決定するかについて、人間の脳には2つの思考モードがあると述べています。一つ目が「速い(ファスト)思考」、もう一つが「遅い(スロー)思考」です。前者を「システム1」、後者を「システム2」と名付けています。

 

「システム1」の脳とは、短絡的で怠惰な脳です。この時の脳は自動的に高速で働いており、努力はほとんどしていません。例えば、「1+1」のような単純な計算であれば、意識しなくても見ただけで瞬時に答えが分かります。この時に「システム1」の脳が稼働します。人間の脳が無意識で決断するまでの時間は0.2~0.4秒だと言われているように、瞬時に「Yes」か「No」の決断をしています。そして、それを意識的に理解するのに時間が掛かっているだけなのです。

 

「システム2」の脳とは、長考する脳です。この時の脳は頭を使わなければできない困難な知的活動をしています。例えば、「245×154」といった複雑な計算をする時には、こちらの脳が稼働します。こちらの脳の状態に入ると、恐怖や不安が、イライラといった感情が掻き立てられていきます。

 

購入時といった決断において、いかにお客様を恐怖や不安な状態にさせないことが重要です。そういう感情に陥ってしまうと、「システム2」の脳が稼働して、長考・混乱といった状態になってしまいます。こうなると、抜け出すのが大変でそれらの感情を一つずつ説明して解消してあげないと、商談が纏まらないといった状態になってしまいます。

 

なので、お客様の脳を「システム2」の状態にしないためにも、39秒といった短時間で勝負する必要があります。

 

3.セールスができない人間は生きていけないのか?

今でこそ営業、経理、製造といった役割分担制のようになっていますが、元々個人事業で自分で商売をしなければいけなかった時代においては、セールスができなければ生計が成り立ちませんから、生きていくことができませんでした。生きるためにはセールスが必須ということは、今の時代においても何ら変わらない普遍的なものではないでしょうか。

 

但し、セールスを楽にしたいのであれば、マーケティング×ブランドを鍛えていく必要があります。ブランドとは元々、牧場の所有者が自分の家畜等に焼印をして、他者の家畜と区別するために行われたもので、誰が作った物かやその物が誰に帰属するかを証明したものになります。

 

自然と売れていくためには3つのTが重要です。TRUST, TIMING, TROUBLEの頭文字を取った3つのTです。TRUSTとは「信頼」で、TIMINGとは「機会」、TROUBLEとは「苦悩」です。信頼がなければモノは売れないですし、機会が合わなければモノは売れません。相手の苦悩と思えるほどの問題を認識して、共感しなければ売れません。更にその相手の苦悩に対する解決策(ソリューション)を提示することもモノによっては重要です。

 

私は以前、コンサルティング会社で勤務していましたが、コンサルティングというのはお客様の困っていること(苦悩)に対して必要な解決策を提案して、契約が成立するとコンサルが開始するという流れでした。当然そこには、お互いの信頼関係が必要です。コンサルを導入して本当に会社が良くなるのかは、セミナーを聞いただけでは分からないですし、実際に工場を見学して自社の事例を踏まえた解決策を相手に提案して、十分に理解や納得して貰う必要さえありました。そうした一連の流れを通してお客様の苦悩を知り、互いに信頼関係を築いていきました。機会で言えば、会社の予算の関係で契約に至らなかったケースもありますし、社長交代といった人事的な問題が関係してきて、契約に至らないといったケースもしばしばありました。

 

結局のところ、人間は人間からしかモノを買いません。いくらロボットがモノを販売していたからといって、ロボットからモノを買いたいと思うことはごくごく稀です。それは、購入を事前に決めていたとか、誰から或いはどこから購入しても同じだというモノ以外はほとんど人から購入するでしょう。

 

人は購入するときは感情で買って、理屈で正当化します。購入するときは感情を揺れ動かすことができなければなりません。それがロボットにはまだまだ難しいです。仮にロボットが感情を持って人と同じセールスができるようになってしまった時、そのとき違ったセールスの仕方が出てきているでしょう。

 

【参考文献】遠藤K.貴則著、売れるまでの時間 残り39秒 脳が断れない「無敵のセールスシステム」、きずな出版(2017)

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