仕事におけるパフォーマンスを少し上げるにはどうすればよいでしょうか?
ルーティンの重要性
「ルーティン」とは決まった手順や所作のことを表します。よく知られている例でいうと、イチロー選手が現役時代の時に打席に立った時にバットを立てる行為や、ラグビーの五郎丸選手がプレースキックを蹴る前の両手を組んで行う行為(五郎丸ポーズ)等のことです。
これを行うことで精神統一を図って、いつもと同じ状態を作り出すことが可能となります。
なぜスポーツ選手はルーティン行動を取るのでしょうか?それはルーティン行動を取ることによって、いつもと状態が違うことを把握することができるからです。
ルーティン行動を行うことにより、いつもと同じ状態を作り出すということは、逆に言えばルーティン行動によっていつもと同じ状態を作り出すことができない場合は調子が悪い可能性があるということです。
このことに気づくことができれば、何かしらの対策を取ることができます。逆にいつもの状態と違うことがわからないのであれば、試合で最高のパフォーマンスを出すことは難しくなります。
スポーツの世界は結果で判断されることが多いので、いかに好調不調の波を抑えるかにかかっています。スポーツにおいて良い状態を作ることができない要因はその良い状態を身体が忘れてしまうからです。
プロの条件は調子の悪い時にでも結果を残せること
プロというのは調子が悪くても、最低限の結果が出せる人のことです。調子が悪いからと言って、結果が悪いのであればそれはプロになりきっていないのではないでしょうか。
私自身、ゴルフを少々やっていた時期がありますが、スコアがなかなか安定しませんでした。「自分もいつかゴルフでプロを」と思ってやってきましたが、その考えは無残にも打ち崩されてしまいました(笑)。人生そんなに甘いものではないですね。今となっては、そういうこと口にすることはプロに対して失礼だと感じるようになりました。
その中で、自分のスコアを安定させるためにやってきたことがあります。それは、状態が良い時にどういう感触であったかや何をした後に良くなったか等細かくメモを取っていったことです。
あなたの家の屋根が嵐で壊れたとします。それはいつ直しますか?次の嵐が来た時に直しますでしょうか。晴れた日にきちんと直しておかなければ、次の嵐を迎えることはできません。
それと同じで、調子が悪くなってから対策を考えたのでは遅いので、状態が良い時に状態が悪くなったときの対策を考え必要があります。自分が思うような調子が出せないときは、調子が良かった時のメモを見ながら繰り返し練習して感覚を取り戻しました。その結果、スコアが前よりは安定した成績をおさめることができました。
日常におけるルーティン行動
これは、スポーツの世界だけでなく、日常においても当てはまるのではないでしょうか。例えば、いつもは玄関を右足から出るのに、今日に限って左足から出たといったことです。その日に限って何かうまくいかないことが起きたりしたことはないでしょうか。
「験を担ぐ」という言葉あるよう、以前良い結果が出たことと同じ行動をするということは昔から行われています。
コーチングや心理学の分野でも「アンカリング」という言葉があります。これは碇のアンカーから来ていますが、これは何かに固定するという意味があり、一言でいうと「条件付け」とも言われます。
先に示したスポーツ選手のポーズやルーティンもアンカリングの一種です。
アンカリングは仕事におけるパフォーマンスも向上させるのに役に立ちます。
例えば、プレゼンの発表前にアンカリングの動作を行うことで、一瞬にして不安や心配といった感情を取り除くことができるようになります。
具体的なアンカリングのやり方は様々ありますが、先ほどのプレゼンの例でいうと、練習しているときの自分に自信を持っている良い状態の時をイメージしながら、ある動作を繰り返し行うだけです。ある動作の例は基本的には何でも良いのですが、例えば自分の心臓を軽く叩くとか、自分の胸に手を当てるといった動作です。何度も良いイメージを持って身体にしみ込ませた状態ができれば、いざ本番においてその動作をするだけで一瞬にして同じ状態を作り出すことが可能となります。
元マラソンランナーの高橋尚子選手が試合の前にhitomiさんの音楽を聴いてテンションを上げたというのも「アンカリング」の一種です。
あなたオリジナルの「アンカリング」を作り出し、最高のパフォーマンスを発揮していきませんか?