正しいことを追求していったその先には?
wrong or right dilemma or ethical question - handwriting on colorful sticky notes

「正しいこと」を追求した先には待っているものは何だと思いますか?

1.現代における「実力社会」主義

『国家の品格』の著者である藤原朝彦氏は下記のように述べています。

どんな理論であれ、論理的に正しいからとってそれを徹底していくと、

人間社会はほぼ必然的に破綻に至ります。

『国家の品格』藤原朝彦著/新潮社

この世の中には「競争主義」や「実力主義」という考え方が正しいとばかりに蔓延しています。

この考え方で見かけ上、今日の社会は反映を続けてきています。

しかしながら、組織において無能な者を排除して、

有能なものだけを残すことを徹底したらどうなると思いますか。

 

回りの同僚たちはみなライバルになり、

こぞってそのノウハウを教えなくなり、

結果、組織の中がとてもギクシャクして

不安定なものになってしまいます。

 

例えば、アメリカでは人口あたりの弁護士の数は日本の20倍、

精神カウンセラーは50~60倍であり、

競争社会を徹底してしまうと、

そういう人が大量に必要となってきます。

2.会社における「実力主義」

私の前の会社においても、

ベテランの人が自分より下の人に仕事を教えると

自分が不要になると思ってしまい、

わざと仕事を教えないといった半ば嫌がらせのようなことも行われていました。

 

会社において個人に技能が帰属してしまっていることを

『属人化』と呼びます。

それが行われると、その人がいなくなった途端に

会社が回らなくなるといった事態に陥ります。

よくカリスマ的な経営者である社長が退いたあとに、

会社が立ちゆかなくといった事象と同じです。

その人しかできないことは「再現性」がないのです。

 

その結果、個人にノウハウやナレッジが蓄積されてしまい、

会社や組織に蓄積されないので、

人が入れ替わったときにまた最初からやり直しとなり、

会社や組織の衰退に繋がっていきます。

 

会社が衰退していくと、

そこで働いている方の雇用が脅かされて、

社会的にもとても不安定になっていってしまいます。

3.組織における「2:6:2の法則」

組織を語る上で外すことができないのは、2:6:2の法則です。

これは2割のトップクラスは優秀でとても仕事ができる人、

6割のミドルクラスはそこそこ仕事ができる人

2割のボトムクラスは仕事はあまりできずに足を引っ張る人

の3つのグループから成立つというものです。

 

ここで、先ほどの無能な人をクビにして、

有能な人だけを残した場合、

ボトムクラスの2割がなくなります。

そうするとどうなるでしょう。

 

ボトムクラスの2割がいなくなることによって、

ミドルクラスからまたボトムクラスの2割が生まれます。

それは、元々ボトムクラスの2割の方たちがいたことによって、

ミドルクラスの人に被害が及ぼなかったのですが、

ボトムクラスが急にいなくなることにより、

自分たちまで被害を及ぼすことなったからです。

自分よりできない人を見て精神的に安心しているタイプです。

 

ミドルクラスの中に限りなくボトムクラスに近い

ボトムクラス予備軍がいると言えばわかりやすいでしょうか。

ボトムクラス予備軍はボトムクラスがいなくなることにより、

本当にボトムクラスになってしまったのです。

 

では、組織を活性化させるにはどうすればよいでしょうか?

4.活性化された組織のあり方

組織としては、やはり上位2割のトップクラス

組織から切り離して、プロジェクトチームを作るなど、

会社として重要で価値のある仕事を積極的に任せます。

 

トップクラスを組織から引き抜くことにより、

先ほどの逆でミドルクラスから新たなトップクラスが生まれてきます。

この層はトップクラスがいることによって、

上になれなかった層であり、能力としては十分なものを持っています。

 

トップクラスがいないと仕事が回らないという考え方は捨ててください。

組織でいうと、人間が血液の役割を果たしますので、

それを定期的に入れ替えを行わないと思わぬところで歪みが生じてしまいます。

組織の中で大抵問題になる事象は『人間関係』と決まっています。

 

組織の活性化の仕方として、トップクラスをうまく活用して、

いかにミドルクラスをそのトップクラス側に引き込めるかが勝負です。

 

組織において、社長は社長の役割、部長は部長の役割があるのと同じで、

それぞれの役職において役割があります。

ボトム層から人を切っていくといった組織においては

今後の発展は見込めないでしょう。

いらぬものを淘汰した先には待っているのは必ずしも幸せとは限らないのです。

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