プロコーチのこばふみです。今回も「コトラーとマーケティング」です。
続・マーケティング2.0
マーケティング2.0では「顧客(消費者)志向」のマーケティングであり、ブランド構築も重要になってきます。ここで言うブランド構築とは、そこで働いている方の流された汗やその商品にまつわる情熱についてストーリーを組み立てることです。
イーロン・マスク率いるアメリカの電気自動車メーカーテスラは過去に1度も利益を出したことがない会社ですが、投資家から多額の資金を集めることに成功しています。投資については不適格なのに、なぜかみなが投資をしたがります。
それは、「テスラは次に何をやるのか」、誰もがワクワクしており、イーロン・マスクと完璧を求める情熱に偉大なストーリーが存在しているためです。
マーケティング2.0の「顧客(消費者)志向」においては、顧客の感情を揺さぶることが効果的になってきます。
例えば、「たばこをやめさせる」という目的達成のために、たばこを吸ったらガンになるという恐怖の感情を刺激して、たばこを諦めさせることが該当します。
マーケティング3.0
マーケティング3.0の時代では、「価値主導」のマーケティングになっていきます。人々はもはやただの「消費者」ではなく、この世界をより望ましいものにしたいという強い意志を持っているのが特徴です。
このマーケティング3.0において、混乱に満ちた世の中への解決方法を提示できる企業を探しています。
現代においても世界において様々な問題が取り上げられています。移民問題、食糧問題、貿易問題、労働者不足問題等など。こうした社会問題を解決する方法が今後も強く求められていくものと考えます。
そして、今日の企業において、CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)にスポットが当たるようになってきています。企業が生産しているモノやサービスにおいて、如何にそれが良いモノやサービスであっても、社会に対して悪影響を及ぼしているものであってはいけません。人間と社会が調和することが前提にあり、「人は常に活かされている」ことを忘れてはいけないですね。
このマーケティング3.0では精神マーケティングと呼ばれ、「3つのP」で表されます。Profit 利益、People 人的サービスの質、Planet 地球です。3つめの地球が特徴的です。
また、マーケティング3.0では、企業と顧客が継続的な取引をすることによって、顧客が企業にもたらす価値(利益)である顧客生涯価値(LTV; Life Time Value)も重要視されます。
LTVは下記の式で表されます。
LTV(顧客生涯価値)=平均購買単価×購買頻度×継続購買年数
ここで重要なのは、顧客がいかに長期間購入し続けてくれるかということです。所謂リピートと言われるものです。単に1回だけの購入で終わってしまった場合、新規客を見つけてこなければなりません。1人の新規顧客を獲得するための費用はかなり高額になってしまいますので、1回買ってくれたお客様に継続してご契約頂いた方が結果として企業に利益をもたらします。
会社の社長さんに上記の項目一つ一つの数字がいくらと尋ねた場合、大抵の場合は答えることができません。LTVを知っている人と尋ねても1割もいないのが現状です。このLTVの各項の数値を把握してきちんと、自社の強みと弱みを明確にすることによって、利益は改善されることになります。
企業にとって重要となるのは、顧客が本当に何を求めているのかを理解し、他の類似品とは異なる特色のある製品を生み出すことであり、すべての顧客に向けたものではなく、この顧客層がこの製品を求めていると認識することが重要です。
マーケティング1.0~3.0 まとめ
これまで、情報においては生産者優位の状況であり、如何に顧客にその商品に対する情報を与えることで、情報格差を武器にしてマーケティングを行っていました(マーケティング1.0)。
しかし、現代においてはテクノロジーの発達によって、顧客は更に多くの情報を手にするようになっており、ものによっては消費者の方が良く知っているといったことも少なくありません。そうした状況下においては、情報格差は武器として役に立たず、情報以外の武器で戦う必要が出てきました。そこで登場したのが、感情を揺さぶる感情マーケティングです(マーケティング2.0)。
よく人が物を購入するプロセスとして、「感情で買い、理屈で正当化する」という言葉ありますが、人はこの商品欲しいと思った瞬間に購入して、購入した後にそれがいかに自分にとって必要であるか理屈っぽく語ります。ある人からしてみれば、その理屈っぽさが言い訳に聞こえる部分もあるかもしれません。
そして、その関心は単なる消費者として感情を揺さぶられるだけではなく、混乱に満ちた世の中を解決することに向けられ、地球のことも考慮に入れた人間と社会が一体となった精神マーケティングに向けられています(マーケティング3.0)。