フィリップス・コトラーのマーケティング4.0 その1

プロコーチのこばふみです。今日のテーマは「コトラーとマーケティング」です。

 

 

 

『こばふみ』の始まりの言葉
あなたはフィリップスコトラーを知っていますか?

フィリップス・コトラーとは?

フィリップ・コトラーPhilip Kotler)は、アメリカ合衆国の経営学者であり、マーケティングの世界的権威と言われる方で、「マーケティングの神様」「近代マーケティングの父」とも称されている人物です。

シカゴ大学で経済学博士号、MIT(マサチューセッツ工科大学)で経済学博士号、ハーバード大学では数学、シカゴ大学で講堂経済学を研究しています。そして、IBM, ゼネラル・エレクトリック、AT&T、バンク・オブ・アメリカほか多数の企業でマーケティング戦略やプランニング、マーケティング組織、国際マーケティングのコンサルティングに携わっています。

彼は残念なことに、今日のマーケターの多くはマーケティング4.0の世界になっても未だ、マーケティング1.0やマーケティング2.0の段階に留まっていることを指摘しています。

これまでのマーケティング(マーケティング1.0)

そもそも、マーケティングと言うと、一般的には「宣伝」というように捉えられがちですが、コトラー教授は以下のように述べています。

古いマーケティングは、セールス、広告、プロモーションなどをテーマとしてきた。マーケティングのスキルセットで、もちろん、依然間違いではないが、今ではもっと広い意味で捉え直すべきだ。新しいマーケティングは、ターゲット顧客に対してより優れた価値を創造し、コミュニケーションし、届けること。そして、マーケティングは今、大きく変わろうとしている。最新のマーケティングは、マーケティングを企業の成長エンジンと捉える。

フィリップ・コトラー

そして、一番最初の考え方マーケティング1.0は製品を中心としたマーケティングです。例えば、自動車を製造して販売を行う場合、企業はまずその製品に対するアイデアを思いつき、それを形にして、消費者に買いたいと思わせるプロセスです。これは、生産者が売りたいモノを造って売っており、製品の生産コストは限りなく低くしなければ製品は売れにくくなります。

「顧客の好みの色の車を購入できる。但し、その好みの色が黒である限り」

ヘンリー・フォード

T型フォードを生み出した、ヘンリー・フォード氏は上記のように述べていますが、消費者は生産者が造ったものしか購入できず、例え赤の自動車が欲しいと思っても、生産者が製造していなければ購入することはできませんでした。

このような時代のマーケティングは「Spray and pray」と言われ、Sprayは「広告に対してお金をスプレーする」、そしてPray 「祈る」。つまり、宣伝したら後は誰かが購入してくれるのを祈るだけというスタイルを表しています。

こうしたマーケティング1.0の時代においては、マーケターは「4P」を意識しておく必要があります。4Pとは、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(促進)の頭文字を取ったもので、別名「マーケティングミックス」とも呼ばれます。この4Pを設定することが前提としてマーケティング戦略を進めていき、効果が最大になるように施策を実施していきます。

サービス業では上記の「4P」に更に「3P」を加えます。加える3Pとは、People(要員)、Process(業務プロセス)、Physical evidence(物的証拠)です。サービス業の特徴は形の無いものを売っており、いつ・どこで・誰によって提供されるかでサービスが変わったり、蓄えることができないといった特徴を有しています。そのため、サービス提供者による違いを表すPeople, 顧客サポートや支払いといった業務プロセスを表すProcess, なぜそのサービスを行っているかを表すPhysical evidenceの3つも同時に考えて置く必要があります。

マーケティング1.0
・「製品中心」に行われているマーケティングで、製品を製造して販売する時に最初に行うマーケティングのこと。
「4P」Product (製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(促進)を意識する。

マーケティング2.0

マーケティング1.0が「製品中心」であったのに対して、マーケティング2.0では「顧客(消費者)志向」のマーケティングに進化していきました。

1970年代のアメリカ経済はオイルショックにより、不況でありながらも物価が上昇し続ける「スタグフレーション」が発生しておりました。その為、需要が足りなくなり、供給サイドだけに視点をおいた「4P」だけでは不足が生じてきました。その結果、新しい製品を生み出しても、その製品が企業の想定した消費者に届くことがなくなり、多くの製品が消費者にとって「コモディティー(差別化が困難になった製品)」化してきました

そうした状況下においては、供給者から消費者への視点の転換が求められるようになってきました。企業は顧客が本当に何を求めているのかを理解して、他の類似品とは異なる特色のある製品を生み出すことに注力してきました。そして、消費者全体に向けた製品を提供するのでなく、特定の顧客層が求めている製品を認識することが重要であるといった考え方に方向転換していきました。

ここで、役に立つのが「STP」です。これは、Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット選定)、Positioning (差別化イメージの植え付け)の頭文字を取ったものであり、市場を細分化して、フォーカスすべきターゲットを決めて、その人にどのように認識されるかということです。

生命保険を例に挙げると、いかなる家庭も生命保険に入るべきと考えてしまっていると、それを買わせようとするので、ライバル会社とのターゲットが同じで熾烈な競争となり、レッドオーシャンの世界になっていきます。それを避けるためには、すべての家庭ではなく、高所得者と低所得者、男性と女性、子どもありと子どもなし、未婚と既婚というように、まず市場を細分化していきます。

そして次にどこの市場をターゲットにするのかを決めます。例えば、高所得者向けの生命保険に特化したり、女性特有の病気である乳がんをカバーする等です。その後、その領域での地位を確立していくという流れです。

現代においては、消費者視点で製品を作る方が売上が上がるため、「4P」よりも「STP」を優先してまず決める必要があります。

マーケティング2.0
「顧客(消費者)志向」のマーケティングで、消費者全体に向けた製品を提供するのでなく、特定の顧客層が求めている製品を認識して行うマーケティング
「STP」Segmentation(市場細分化)、Targeting(ターゲット選定)、Positioning (差別化イメージの植え付け)の順番で戦略を作る必要がある。
・「4P」よりも「STP」を優先して考える。
『こばふみ』の終わりの質問文
マーケティングはあなたに何をもたらしますか?

 

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