あなたは「質問会議」を聞いたことがありますか?
目次
1.「質問会議」とは?
質問会議とは、発表者以外の方は質問だけでしかできないという会議です。質問会議は「アクション・ラーニング」の手法を取り入れた組織の問題解決を行っており、今日の問題解決を行う中で、明日の問題解決力を身につけることが可能です。
アクションラーニングは、グループで現実の問題に対処し、その解決策を立案・実施していく過程で生じる、実際の行動とそのリフレクション(振り返り)を通じて、個人、そしてグループ・組織の学習する力を養成するチーム学習法です。
アクション・ラーニングとは元々、イギリスの物理学者レグ・レバンス(1907-2003)が提唱したものです。そして、アメリカのマイケル・J・マーコード教授も同様にアクション・ラーニングの実践的なプログラムをつくった一人です。そして、2006年には、マーコート教授を顧問としてアクションラーニングの理解と組織導入の推進を目指して、NPO法人日本アクションラーニング協会も設立されています。現在では、公式トレーニングを受けたアクションラーニングコーチ(ALコーチ)が輩出されており、積極的に活動を行われています。
2.そもそも会議の目的とは?
そもそも会議の目的とは何でしょうか。
会議の最終的な目的は、行動する内容を決めることです。現状を把握して、問題・課題が何で、それに対してどのような対策を講じていくかを議論して、どんな行動を起こすかを決めていきます。そこでは利害関係者の調整や承諾を得る必要もあるかも知れませんが、行動を決めない会議はいくら議論をしたところで生産性が上がりません。むしろ、会議に時間ばかりが費やされてしまい、会議することが目的になってしまっています。行動する内容を決めない会議ほど、生産性が上がらない会議はないでしょう。
しかしながら、現在の組織においては、以下のような問題点が蔓延しているように思えます。
・組織目標はあるが、現場まできちんと浸透していない
・目標が計画の段階で留まっており、実行できていない
・上から言われる仕事をこなすことで精一杯の状態になっている
・考える力がついていない或いは忙しすぎて考える時間が確保できていない
・若手の教育がおざなりになっている。
・チームとしてサポートし合う意識が薄い
・チームとしての独創的な発想が生まれにくい
上記のような事柄について、あなたの会社でも思い当たるところがないでしょうか。
これらは全ては、チーム力が低下しているために発生している問題だと言えます。現在の会社においては人が少なくなってしまっていることから、なかなか時間が取れず、積極的にチーム力を活用したり、アップさせる「場」が少なくなってきているように感じます。こうした「チームが機能する場」を提供しているのがこの「質問会議」です。
最近のコミュニケーション事情をみると、隣にいるのにも関わらずメールで連絡をするということも少なくありません。仕事の生産性を上げる基本として、コミュニケーション力は不可欠です。個人の能力だけでは限界を突破することはできないものを、チームの力を最大限に活用して限界を突破していくのです。
冬季オリンピックでのパシュートを思い浮かべて下さい。個々の力では世界に勝てないような相手でも、チーム一丸となれば世界のトップを取れることもありえます。このチーム力こそ日本が持っている世界に誇れる力なのではないでしょうか。
3.質問会議のやり方
質問会議はいたってシンプルです。押さえるべき基本的なルールは2つです。
① 参加者は質問を中心に行うこと。
② 振り返りの時間を取ること。
質問会議の場には、通常の参加者の他に、問題提示者、ALコーチ(アクション・ラーニングコーチ)を設けます。
問題提示者の役割は、当事者として抱えている問題をチームに提示します。この問題自体が質問会議のチームの問題として設定されるため、参加者に情報提供すること求められます。
ALコーチの役割としては、質問会議のファシリテーター、開始終了のタイムキーパーの他に、参加者全員の平等な関係性を保ったり、自らが呼び水になって発言を促したりしていきます。
実際には、問題解決には直接関与せず、どちらかと言えば会議全体のプロセスを管理します。大抵の会議では発言者が固定されてしまっていたり、固定されていないにしても6,7割は毎回同じ人が発言をしています。それを回避して、様々な参加者の方に意見を聞く等していきます。また、質問の内容が違う方向にずれてしまいそうなときは、コーチが介入して方向修正を行うことも重要な役割です。参加者の役割は、質問以外のことを行っていけません。例えば、自分の意見を問題提示者に行うことはNGです。
手順は以下の通りです。
② チームで問題を抱えている人(問題提示者)に質問して問題を明確化する
③ 途中で振り返りを行い、問題提示者が問題を再定義する
④ 参加者に再定義した問題に同意するか尋ねる
⑤ 同意できない場合は理由を聞く等、問題の更なる深掘りをする
⑦ 行動計画を作成する
⑧ 振り返りを行う
4.質問会議の効果
この質問会議により、以下の5つの能力が身に付きます。
② 傾聴力
③ 共感力
④ 思考力
⑤ フレーム打破力
質問会議であるから、質問力が付くことは言うまでもありません。参加者は質問以外のことについて、意見することができませんので、いかに問題提示者が真の問題に気付くような効果的な質問をすることが重要です。そうした効果的な質問をするためには、問題を抱えている人の質問をしっかりと聴くことが重要です。話をしっかり聴いていれば、効果的な質問ができるとは限りませんが、効果的な質問ができる人は話をしっかりと聴いています。
また、話をしっかり聴いていれば、自分が共感できるところがあることに気付くことができますので、共感力も身につきます。共感することができれば、自分の実体験から質問することも可能です。
更にチームの知恵を総結集して行いますので、自分の枠を取り除くことができたり、そういう視点もあるのだと考えさせられることもあります。そうした意味でも、思考力やフレーム打破力が身につきます。
5.実際には体験がGood
とは言うものの、聴いているだけではなかなか理解しにくいところもありますので、実際に体験してみられることをオススメします。
特定非営利活動法人 アクションラーニング協会HP https://www.jial.or.jp/case/
あなたの組織が解決したい問題はなんですか?