なぜ「株式投資」で勝つ人、負ける人がいるのか?②

前回の続きです。

 

 

 

 

 

4.  長期的な視野を持つことの重要性

再度になりますが、投資とは企業の価値に資金を投じることです。投資でいうところの企業価値というのは、その企業が倒産しないことです。企業が倒産してしまってはその株は紙くずになってしまいますので、これは是が非でも避けたいというのが投資家の心理です。

しかしながら、この世界の中で民間企業で倒産しない会社というのはなく、不祥事等で会社が傾くことさえあります。だから、財務分析だけでは評価して投資をするのではなく、その企業がどういった製品を作っているか、どんなサービスを提供しているかや、拡大の可能性や将来性はどれだけあるかということも知っておく必要があります。企業価値が十分に見出せる企業においては、たとえ株価がその時は低くても、将来必ず上がってきます。そうした将来性を見通せる力というのは、会社の経営者としても必要な能力ですが、投資家にとっても必要な能力と言えます。

近の日本では、この長期的な視野が欠けているよう気がします。私自身も株式投資を始めたときは、株の上昇下降といったことが気になっていましたし、毎日チャートを見ては一喜一憂していました。仮に株式で利益を上げることができなくても、会社の四季報が見られたり、財務諸表が見れるので財務的な勉強になるからよいかを思っていました。しかし、本当に会社の株を買うと言うことは、利益を上げること以外にも、その将来性やビジョンに共感して応援したいと思えるかが重要ではないかと思っています。経営をする上でも、株主のためだけに働いていては、身が持たないのではないかと思います。四半期決算で3ヶ月毎に結果を求められたらまっとうな経営は難しいと思います。だから、株主だけでなく、株主、経営者、従業員の3方良しを目指して会社の持続的発展させることが長期的に良い投資だと感じます

投資の例として、政府が行う公共投資があります。過去に「コンクリートから人へ」ということで公共投資が削減された結果、土砂災害や浸水といった被害が出てきています。よく考えれば分かることですが、現在の日本において、水道、ガス、電気、橋、道路といった公共インフラは過去の先人たちが投資してきてくれたことで建設されたものであり、今を生きる私たちはその恩恵を受けています。だから、現在の私たちがきちんと公共投資をしなければ、将来のインフラはガタガタになって住めないという状況に陥ってしまいます。

企業においても、設備投資といった生産性を上げるために必要な投資をし続けなければ、その企業の存続が危ぶまれます。今さえ良ければ良いと言うのであれば別ですが、基本的にはゴーイングコンサーンで永続的に続いて行くわけですから、必要な投資をしない企業の将来性は暗いと言わざるをえないでしょう。

5.あなたは何のために投資をするか?

何のために投資をするかということは、人によって理由は異なります。

講師のCayden Changさんは、過去に2度ガンになった経験があり、そこから克服されてバリュー投資を広めるために活動をされています。昨年には書籍「いつの間にかお金持ち! はじめての『株』入門」を発売され、その印税はガンを克服するために全額寄付されるとのことでした。

世界的に見ても、1世帯当たりの寄付の金額は、アメリカが約13万円なのに対して日本は約2,500円とアメリカの50分の1に留まっています。これは税制の差もあるかもしれませんが、それだけでは説明がつかないですね。三菱総研のデータでは日本の寄付金額は36ヵ国中29番目です。投資で儲けたお金の何%か寄付に回すということも貢献意識を高めるためには良いですね。投資で得た十分な利益は社会に還元すると決めれば、投資は必ずしも悪いという価値観は変わってくるのかもしれないですね。

【書籍】Cayden Changいつの間にかお金持ち! はじめての「株」入門、高橋書店(2018)

https://www.amazon.co.jp/dp/4471210815/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_gFRuCbA31MAAQ

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