プロコーチのこばふみです。今日のテーマは「すべき思考」です。
目次
「すべき思考」は選択肢を排除する
あなたの口癖で「○○すべき」と言っていませんか?
私は新入社員の時に職場の上司に「○○すべき」ということを散々言われてきました。新入社員であるから、仕事のやり方一つ取ったとしても右も左も分からない状態です。そうした状況下において頼れる人は上司しかありませんでした。上司の言うことが違うかなと疑問を持ちつつも、言われる通りにやってきました。新入社員の自分に対して同じ感じで、年配の部下に接するので、そのチームの中で衝突が絶えませんでした。しかしながら、それがきっかけとなって年配の部下の方とも仲良くなれたのも事実です。
上記の例では「○○すべき」というのは、上司から部下への考え方の押し付けでした。「○○すべき」という考え方はそれ以外の選択肢がない状態です。実際のところ、承認の権限は上司にあるので、それに従うことでしか物事は先に進みませんでした。
しかしながら、2,3年と経験を積んでくると上司が言っていること何のためかが分かってくるようになり、それが自分を守るため、つまり自分が責任を取らなくても良いように言っているということが分かってきました。それがひいては会社の利益、そこで働く人の利益にならないだろうことに気付いても、結局は従うしかなかったのです。
ここで気付かされたのは、何が良いかということを常に考える癖を付けるということです。会社であれば、「3方良し」という言葉のように経営者、従業員、株主の3者が良くなるように行動するのが良いと思います。このうちのどれか1つや2つの利益を優先してしまうと、残りが辛い目を見ることになってきます。例えば、株主の利益を優先し過ぎると、経営者が必死で経営成果を上げないといけないし、その利益を達成するために従業員にも多大なる負担を掛けてしまいます。
次第に自分が考えていることと上司が考えていることが次第に対立するようになっていきました。どうすれば良いか考えすぎて、精神的にも落ち込んだときにヒントを与えてくれたのが、「書籍」や「DVD」といった自己啓発に関するものでした。病院に行ったところで薬を処方してくれるだけで、何の根本的な解決にならないのです。その解決策は自分で考えるしかなく、そこからというもの「書籍」や「DVD」に貪るように読んだり、聴いたり、見たりしました。それが、自分の考え方の幅を広げてくれました。
実際に自分が辛かった時期にやってきたこと、考えてきたことが、『コーチング』の理論とも関係していることに気付かされました。私は過去の人が実際に体験したことでうまく行ったことを、他の人に広めるために体系化やプログラム化して行うものが学問であると感じています。『コーチング』で言えば、初対面の相手と信頼関係を築いていけるといった上手くいったパターンを調査していくと、相手の言葉を繰り返し言っていたり、相手と同じ仕草をしていることに気付いたのではないかと思います。それを体系化するために名前を付けたのが前者が「バックトラッキング」であったり、後者では「ミラーリング」なのです。だから、「ミラーリング」をすれば信頼関係を構築できるというように思ってしまいます。それで、テクニックやスキルに走ってしまい、こんなテクニック使っても効果がでないといった間違った考え方になってしまいます。卵が先か鶏が先かと言った議論がありますが、根源やルーツを辿れば必ずどちらが先かは分かります。
そこから『コーチング』に興味を持ち始めたのが5年程前でした。そして、私はもっと深く勉強したいと思い、上京することを決め、今ではコーチングを仕事にして、クライアントの可能性にフォーカスを当てて、選択肢を増やして行動して、目標達成や結果を出して頂いています。
・相手に使うと自分の考えの押し付けになる。
「すべき」思考から脱却するには?
「すべき」思考というのは、自分の感情を悪い方向へも導きます。例えば、家に帰ってきたときには靴を揃えておくべきという考え方を持っていたとします。そういった「すべき」思考を持っていると、家に帰ってきたときに、靴が揃えていない状態であるとイライラします。そして、靴が揃っていないのが子どもであれば、それを子どもに注意します。
このように「すべき」思考を沢山持っていると、その「すべき思考」から1ミリでもずれたことをすると、イライラしたり、怒り出します。こうした「すべき」思考は相手をも疲れさせるだけでなく、自分をも疲れさせます。
人がイライラしたり、起こったりする原因は自分がもっている「すべき」といった自分のルールを他人が破ったときに発生します。なので、そのイライラすることを避けるのであれば、「すべき」の数を減らせないか検討してみましょう。
やり方は非常に簡単です。
2.その中で自分がどうしても譲れないもの、これは手放しても良いものに分類します。
まずは優先順位付けした中で上位20%だけ残して、あとは手放します。
このように、「すべき思考」の項目の数を少なくしていくことで、自分の感情をコントロールします。
してもよい思考が自分のできる領域を広げる
また、「すべき」思考から脱却するためには、「してもよい」思考に切り替えることです。「すべき」というのは英語というとshouldですが、「してもよい」というのはmayです。
先ほどの「家に帰ってきたときには靴を揃えておくべき」という考え方では、「してもよい」思考では「家に帰ってきたときは靴を揃えてもよい」という考え方になります。表現としては弱々しい感じになりますが、これであれば、その人自身に選択肢があります。つまり、靴を揃えておくかどうかは本人次第であると捉えることができます。そうすると、靴を揃えた方が方が良いか、揃えない方が良いかを本人が考えるようになります。靴を揃えないと親から叱られると考えると靴を揃えるようになりますし、靴を揃えると親から褒められると考えると靴を揃えるようになります。
・相手に使うと相手の選択肢の幅を広げる。
「してもよい」思考は「できる」思考になる
また、「してもよい」思考は自発的に物事を自分で考えて行動するので、自分で「できる」ことが増えていきます。自分で選択したことでなければ、その責任を押し付ける思考になってしまったり、他人に依存してしまうことになってしまいます。
例えば、子どもの進路を親が「医学部に行くべき」といって決めた場合、その進路を進んで仮に医者になれなかったときには親のせいにしてしまう可能性もあります。そして、更にそのことが原因でまた「お前の努力が足りなかったからだ」というような言い合いになってしまい、エスカレートした場合には殺人沙汰にまで発展してしまうことも考えられます。
そうならないためにも、「してもよい」思考を持って自分で考えるように仕向けていき、「できる」ことを一つずつ増やしていきます。その為には「すべき」思考を避けていかないといけません。
should思考からmay思考への切替がcan思考をつくるのです。