読めない文章が出てきた際、あなたならどのように訳しますか?
1.機内の中で見た映画
先日アメリカに行ってきました。
その帰りの飛行機の中で日本の映画で面白いのがないかと思い、探して見てみたところ、
「家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。」
「!!」
何かに惹かれたような感じがして早速見てみることにしました。
2.あなたならどう訳しますか?
映画のレビューをしたいわけではないのでサラッと流します。
夫である”じゅん”が家に帰ると、妻の”ちえ”がケチャップで血糊したり、ワニに食べられたり、頭に矢が刺さったりと芸が細かく死んだふりがエスカレートしてきます。
夫が理由を尋ねても「月が綺麗ですね」としか答えない妻の本意はなかなか分かりませんでした。結婚して3年目で子どももおらず、結婚後は3年間の契約で、3年目にそのまま続けるかどうかを決めるという設定でした。
”ちえ”の死んだふりが始まったことで、夫婦の在り方を考えることができます。さらに”じゅん”には同僚の離婚といった頭を悩ます問題が浮上し、更に追い込まれていきます。それでも苦悩しながら必死に答えを探そうとする”じゅん”にはとても面白いものがありました。
そして、ようやく“ちえ”の真意にたどり着いた“じゅん”が、3年前にプロポーズした場所で“ちえ”に耳打ちをするのですが、その直後に“ちえ”は優しい笑顔で頷いており、“じゅん”がたどり着いた答えは間違えていませんでした。
その内容の答えは文学の中にありました。かつて夏目漱石は英語の教師をしていた時、生徒が「I love you」の一文を「我君を愛す」と訳したのを聞いて、
「日本人はそんなことは言わない。月が綺麗ですね、とてもしておきなさい」と言いました。二葉亭四迷はロシア文学を翻訳したとき、腕にキスをして抱き寄せるというロマンチックなアプローチに対して、「yours(あなたに委ねます)」と囁いたシーンを「死んでもいい」と訳しました。
そうなんです。”ちえ”は、結婚3年経過しても、その愛は変わらないままだったんです。ロマンチックだが、知っていないと分かりづらい(笑)でも、純粋なラブドラマでした。
あなたがもし知らなくて読めない文章に出会ったとき、どのように訳しますか?夏目漱石や二葉亭四迷のように、訳せますか?
3.タイトルの付け方を考える
このタイトルを見て、大半の人が「何で?」と疑問を抱かされる感覚になります。これこそが、まさに人が見たくなるマジックです。
人間の脳は違和感を覚えたり、空白があるとそれをどうしても解消したいという心理が働き、行動を起こさせるようになります。そういう意味ではこのタイトルはとても秀逸だったと思います。
あなたはメルマガを取ってメールBOXが未読状態で一杯の状態になっていませんか? そうした中でも思わず開けてしまうようなメールの1つや2つ、あると思います。それはなぜ開けてしまったのでしょうか?
恐らく、自分の興味があることがタイトルに書いてあったり、タイトルに対して何らかの疑問を持ち、それの詳細をあなたも知りたくなったからではないでしょうか。
コピーライティングの世界において、「1行目は何のためにあるのか?」という問いがあります。
その答えは、
1行目は何のためにあるかというと2行目を読ませるためです。
それでは、2行目は?
2行目は何のためにあるかというと3行目を読ませるためです。
つまり、1行目を読んで興味を持って貰わないことには、次の文章を読んでもらえないのです。大量の情報が溢れている現代において、いかに立ち止まったり、振り向いて見て頂く工夫が必要なのです。
ちなみに、映画に興味があるという方は一度ご覧ください。