『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。』と述べたのは、
ドイツの名宰相であるビスマルクであると言われています。
1. 愚者は経験に学ぶ
あなたの今の仕事は過去の経験を基に行っている仕事でしょうか。
おそらく大半は、学生時代に勉強した内容を
そのまま職業にされている方が多いように思います。
自分が実際に経験した事柄から学びを得ることを『経験学習』と呼んで、
現在、大企業におけるOJT(On the job training)の一環として
実施されているところもあります。
簡単に言うと、仕事を通じて学び、
経験したことを自分の中の知識として文章化して
今後の仕事に活かすことを目的としている学習方法です。
マイケル・ロンバルトとロバート・アイチンガーは
「人はおよそ70%を経験から、
20%は観察学習や他社のアドバイスから、
残りの10%は研修や書籍等から学ぶ」
と述べています。
私はこれを聞いたとき、違和感を感じました。
というのも、今の自分自身が研修や書籍から大いに学んでおり、
その効果はかなり高いと実感しているからです。
繰り返しの小さな失敗を重ねて、
その失敗から学ぶことは大事なことですが、
自分の経験からしか学ばなければ、
物凄く狭い範囲でしか物事を見れなく
なってしまう可能性があります。
経験だけに頼ってしまっていては、
いずれ自分の枠を超えることができなくなり、
安定志向に落ち着いていきがちです。
例えば、経験が豊富になってきた中堅ともなると、
失敗することが少なくなり、
これまでの勘や経験に頼って仕事をしがちになってきます。
しかし、この仕事がこれからも先ずっと続いていく保証があれば、
それで良かったですが、
これからはAIやロボットによって仕事がガラリと
変わることが予想されている中で、
経験からしか学ばないというのは
結果的に自分の身を滅ぼすことに繋がるのではないでしょうか。
2.賢者は歴史に学ぶ
過去、イギリスが世界中を植民地にして回ることができたのは、
歴史を重んじることを国是としたからです。
イギリス人は、植民地に乗り出すまでに、膨大な知識を記録・整理して、
歴史としてまとめる作業を数百年かけて行い、知恵をひたすら蓄え続けました。
更にイギリス人はかつてのローマ帝国から歴史、
マキャベリ等の天才から知識を学び、
それを自国に生じた事件に当てはめて、
アフリカ、南アジア、北米大陸、オセアニアの原住民を効果的に分断して、
世界の半分を支配することに成功しました。
現在においても、人々の悩みや問題というのは、
大抵は他の人がもう既に経験していることが多く、
それらが知識として書籍化されている以上、
それを読んで学んで、自分の事例に置き換えて、
日常の生活に活かすということはとても効果的です。
その人々が歩んできた痕跡が歴史であり、
そこから得られる失敗を学ぶことは
自分の経験から得られるものより
何十倍、何百倍もの効果が得られ、
非常に参考になるものばかりです。
『愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ』は、
これから先の見通すことが難しい未来予想を
手助けしてくれるものになることは間違いありません。