前回「参入障壁」について書いたので、
今回はE.M.ポーター教授の7つの参入障壁について
体系的に見ていきます。
目次
1.「参入障壁」とは?
「参入障壁」とは、新規業者として新しい分野に入るため
に乗り越えなければいけない壁のことであり、
既存業者であれば新規業者の参入を阻止するための優位性を指します。
つまり、この参入障壁が高ければ高いほど、
他者からの参入は防ぐことができるため、
自分の分野における競合相手が少なくなるため、
価格競争にならずに高値でも勝負することが可能になります。
2.「参入障壁」における7つのポイント
E.M.ポーター教授は更に、
「参入障壁」において下記の7つのポイントを掲げています。
① 規模の経済性
② 製品の差別化
③ 巨額の投資
④ 仕入先を変更するコスト
⑤ 流通チャンネルの確保
⑥ 規模とは無関係なコスト面の不利
⑦ 政府の政策
順番に見ていきましょう。
3.①規模の経済性
規模の経済性とは、スケールメリットとも呼ばれ、
事業規模が大きくなればなるほど、
その事業に入るための投資の規模が大きくなるため
参入に対して多額の投資をしなければならず、
参入に対する高い壁になるというものです。
特に事業規模が大きくなるにつれて、
製品やサービス1つ当たりのコスト(単価)が低くなる場合は
特にスケールメリットの効果は顕著にあらわれます。
代表的な業界に自動車業界、プラント業界が挙げられます。
4.② 製品の差別化
2つ目は「製品の差別化」です。
製品の差別化とは、いわゆるブランド力であり、
一朝一夕で行えるものではありません。
ブランド構築のためには、製品の魅力や機能、品質、
アフターサービス等、総合的に顧客が選ぶ理由が
明確になっている必要があります。
従って、新規に参入する場合は、
既存事業者に比べて多くの広告宣伝費を払う等が必要です。
コンビニと言えばセブンイレブン、
フリーマーケットと言えばメルカリ、
付箋と言えばポストイット、
紙を綴じるにはホチキス、
といった感じで、キーワードを言えば、
企業名や商品名がパッと頭に思い浮かぶものがブランド力です。
5.③ 巨額の投資
参入しようとしている業界に対して、
研究開発や設備投資といった巨額の投資が必要な場合、
その投資が参入障壁となります。
例えば、航空機業界に参入するのであれば、
航空機を購入したり、安全を確保するための整備を行ったりと、
参入するだけで投資が必要となり、
資金力のある企業にしか参入できなくなくります。
6.④ 仕入先を変更するコスト
部品を購入してくれる企業(サプライヤー)において、
仕入先を変更するコストが大きい場合、
既存企業にとって有利になり、
新規参入企業には不利になります。
仕入れ先を変更するコストに対して
得られるベネフィットが
どのくらいあるかが
新規参入企業の明暗を分ける鍵となります。
7.⑤ 流通チャネルの確保
既存企業における流通チャネルを持っている場合、
その流通チャネルの存在が参入障壁になります。
流通チャネルとは生産者により生産された「製品」を
消費者に届けるまでの一連の流れ(流通経路)を指します。
この流通チャネルを築いていくためには
多大な労力とコストが必要となるため、
参入障壁が高くなるのです。
8.⑥ 規模とは無関係なコスト面の不利
既存企業が独占的な技術を持っている場合において、
その独占された技術力が参入障壁になるパターンです。
独占技術の代表的なものが「特許」であり、
他社がその特許を使用して事業をする場合、
「特許使用料」という形でロイヤリティを支払う必要がありますので、
コストの面からしても不利になります。
9. ⑦ 政府の政策
政府における方針や政策が参入障壁となる場合があります。
例えば、医師、弁護士や税理士等の国家資格がないと出来ないケースや、
行政が認可しないとできない仕事が該当します。
10.まとめ
体系的にまとめられているポーターの7つの参入障壁でしたが、
新規事業を考える上で考える余地のある項目ばかりです。
今後の新規参入を見越して、
現在の市場がどういう状態であるかを一目で分かる
『市場規模マップ』があります。
一度目を通すと面白い発見が得られるので、
一度ご覧ください。
【参考】市場規模マップ
https://visualizing.info/cr/msmy/#t=2018&v=all&cn=cc0000&cx=00cc00&cr=10&o=gabcu&m=febfcffff1dfdfff9effffffffffdbfeffdf3ffffd0ce2b508fff82fcefbb9000d400001dbbe3c0926009a94d000040800c81a92aaa05be2401c00013de&h=&mt=